利益向上、市場拡大、株価上昇と、目に見える数字ばかりを追い続けることが、必ずしも「正解」として求められることがなくなってきた昨今。これからの組織、そして、私たち個人の在り方はどう変わっていくのだろうか?

このヒントを探るべく、これからの社会を創るキーパーソン、称して「醸し人」に迫まる醸し人インタビューを経済誌 Forbes JAPANのオフィシャルコラミストとして連載させて頂いてます。

第4回は、木村石鹸工業の社長、木村祥一郎さん。木村さんは、日本発の検索エンジンを開発した「ジャパンサーチエンジン(現e-Agency)」の立ち上げを経験した後、2013年に家業である大正13年創業の同社に入社。自社ブランドの開発などを通じて事業拡大を進めながら、2016年には、4代目の社長に就任した異色の経歴の持ち主。なにより社員やその家族を大切にするしなやかな経営方針は、大きな注目を集めています。

◎04月24日 公開記事

会社の論理より社員の幸せ 木村石鹸の「しなやか経営」

社内では案件毎にプロジェクトチームをつくりますが、その時設定されたテーマや状況に応じて、リーダーは柔軟に変わるんですよ。だから、一応組織図はあるのですが、ほとんど意味を成していないです(笑)。ヒエラルキーをつくって、カチッと役職にはめ込むよりも、自然に役割が生まれるような環境をつくるほうが大切だと思います。

ナオライさんの関わるお酒づくりにも同じことが言えるのではないかと思います。発酵に必要な環境を整えたら、あとは菌が酒を醸すのを「待つ」だけじゃないですか。会社においても、自由に意見が言えて、発想を持てて、チャレンジができる「環境」と、万が一失敗しても大丈夫という「安心感」をつくって、あとはじっくり待てばいい。

会社を取り巻くヒト・コト・モノに「安心・安全」を提供することを徹底する姿勢。社員やお客さまに愛され続ける会社を築く上でのヒントが、一見「遠回り」にも見える経営哲学を訊く中で見えてきました。
ぜひ、ご覧ください!

今回インタビューした醸し人

木村祥一郎
1972年、大阪府八尾市生まれ。京都市在住。同志社大学在学中の95年、映画サークル仲間とIT企業を起業。副社長として東京と京都を往来し、インターネット検索エンジン開発やウェブサイト制作などを手がけた。2013年家業に入り、16年代表取締役社長に就任。石鹸を現代的にデザインしたハウスケアブランドを展開。

監修=谷本有香 インタビュー=三宅紘一郎 校正=山花新菜 撮影=大田 元