久比地区の自治会長を務められていたこともあり、常にこの地が良くなることを考え、住民の方々を想う小林さん。これまで交流を重ねた若者たちからは「ますやさん、じぃじ」の愛称で親しまれ、また私たちナオライ一同の活動を温かく見守って下さる、本当に頼もしい存在です。そんな小林さんから、来島する若者を通じて気づいたことを伺いました。

「どーせ」と言わないことに気付かされた。それが、一番心に残っています

知人から「三角島で事業を始めた若者がいるから面倒をみてあげて欲しい」と声をかけられたことがナオライと関わりを持ち始めたきっかけです。

これまでナオライを通じて、数多くの学生や若者と交流を持ちましたが、彼らから色々な感動に巡り合わせてもらいました。

例えば、狭い地域の中では、既成概念や昔からの慣習が足かせとなることが多々あります。日々同じような話題が飛び交う中で、自分自身、何かをするにも「どーせ」と、否定的な言葉を口にしがちでした。

しかし、そこにやってきた若者たちは、我々と価値観や考え方が180度違う。「久比・三角島をどうにかしたい」とテーマを掲げて(*1)、自分たちにできることを一所懸命行う姿に素晴らしさを感じたんです。なんて前向きに物事を考えているのだろう、と。

この地のためにできることを必死で考える子たちがいる。例え構想が実現することがなかったとしても、それだけで私たちは嬉しいし、素晴らしいことをしてくれていると思います。

これまでは公民館を始め、市民に向けた場をつくる時、外部からコンサルタントを入れることが常でした。でも、そうした過程で作られたものは、本当の意味で「自分たちのモノ」ではないですよね。彼らを見ている内に、まずは「自分たちのモノ」であるというスタートから始めないといけないな、と感じたんです。邪念を払い、白紙の状態からでも、自分たちの手で創り出すことの重要さを痛感したんですね。

こんな風に、自分たちの力で物事をより良くするためにはどうするべきか?と考えることの大切さを気づかせてくれたのは、久比・三角島に来てくれた若者たちでした。

この地をより良くするのに、若者の力は欠かせない

久比で毎年8月に行われる盆踊り。皿と皿を叩いて踊るのが久比式の踊りだ。

いま現在も島の高齢化はどんどん進んでいます。またこれまでの古き慣習から抜け出さない限りは、地域の伝統文化を守り続けることは厳しいと思うんです。

それを回避するには、やはり新たな風を吹かせてくれる若者の力が必要です。

例えば、お祭りの準備一つ取ってもお年寄りだけで進めていくことは非常に困難。だからパワーのある若者が手伝いをしてくれることは、地域の人たちにとって本当にありがたいことなんです。他にも、日常の中でちょっとした手助けをしたり、コミュニケーションを取ったり。それだけで十分。

ナオライにはそんな若者たちを、これからもどんどんこの地に繋ぎ続けて欲しいです。

今後も人との出会いを大切に

いまでも、普段島で生活していたら絶対に出会わない人たちとの出会いや繋がりを常に求めて続けています。彼らから学ぶべきことは多々あるし、ずっと現役で勉強したいですから、人と接触して色々な考えを知りたいです。

いまでもメッセージでやり取りをしたり、島に遊びに来てくれたりと交流が続いている子が何人もいますね。個人間で関係性ができたことはもちろんだけど、もしかすると久比・三角島に対して湧いた愛着がそうさせている面もあるのかな(笑)彼らと価値観やライフスタイルは違えど、相談に乗ったり、頼ってもらうことができればと考えています!

*1:これまで拓殖大学、修道大学の学生がゼミナールの生徒さんが研究テーマとして久比・三角島を取り上げている